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ウラジオの貨物船が択捉島への輸送をサボタージュ 2カ月たってもコンテナ届かず

昨年11月にウラジオストクからサハリンを経由して択捉島に運ばれる予定だった新年用の食料品などの貨物が、悪天候や貨物船の相次ぐ故障などによって、今になっても荷主の元に届いていない。貨物船「プロスペル」はウラジオストク--コルサコフ(サハリン)--クリリスク(択捉島・紗那)の貨物輸送のため、マルチ・フライトLLCによってチャーターされた。11月28日にはウラジオストクからコルサコフを経由してクリリスクまで、新年用の食糧や自動車などを運ぶ予定だった。しかし、12月1日、コルサコフに到着した後、貨物船のクレーンが故障しほか、岸壁に降ろしたコンテナが荷崩れを起こしたため、別の岸壁に再係留して荷下ろしした。貨物船はクレーンの修理のためウラジオストクに戻ったが、クリリスクに向かうはずのコンテナはコルサコフの岸壁に残されてしまった。12月14日、修理を終えた貨物船がウラジオストクを出港し、コルサコフに到着。クリリスク向け貨物を積み込んだが、荒天のため択捉島に到着できなかった。12月27日、貨物船はアニワ湾に向けて出港、今度はアンカーが故障した。年が明けた1月5日、貨物船は択捉島に到着したものの、風が強くなり荷下ろしを完了せずに、いくつかのコンテナを積んだままコルサコフに戻ってしまった。こうした場合は、海上で天候の回復を待つのが普通だが、なぜか、そうはしなかった。1月9日、天候が回復し、荷下ろしのため択捉島に来るよう要請したが船長は拒否し、ウラジオストクに向かった。船上に積まれたままの複数のコンテナには、それぞれ20~30人の貨物が含まれている。荷主の見積もりでは価格にして総額7,000万ルーブル。遅延による損害は1,000万ルーブルにのぼる。荷主は自分たちの商品がウラジオストクで勝手に売られてしまうことを恐れている。港湾当局によると、この間に十数隻の貨物船が択捉島に到着している。マルチ・フライトLLCは「紛争は裁判で解決されるべき」と考えている。ロコトフ市長はこの話が事実であることを認めたうえで「島の食糧には問題ない。まだ流氷は来ておらず、他の貨物船は定期的に貨物を運んでいる」と話している。(サハリン・インフォ2021/1/26)

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