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択捉島・別飛 老朽住宅からの住み替え裁判 権利がないとされた住民が勝訴

択捉島レイドヴォ(別飛)のゼレナヤ通りにある3棟の老朽化した「緊急住宅」--。9号に住むタチアナ・ルスさんが、クリル行政府から新築アパートに移住する権利がないとされた問題で、クリル地方裁判所はルスさんの主張を認め、少なくとも65.8㎡の居住空間の提供を義務付ける決定を下した。9号は2014年に「緊急住宅」に指定され、2019年に所有者のルスさんはクリル地区行政府との間で、現住戸の取り壊しと新築アパートへの住み替えに関する契約にサインした。しかし、今年6月、ルスさんは移住の資格がないという通知を受けた。2019年に法律が変更になったためだという。ルスさんは2016年に本土に小さな部屋を購入した。通院・治療のために滞在するための部屋だったが、法律が変わり、本土に別の住宅を購入した場合は、住み替えの権利を失い、老朽住宅からの立ち退き補償のみとなった。法律の施行は2019年で、ルスさんが本土に部屋を購入した2016年までさかのぼって適用されないはずだが、行政は決定を変えなかった。ルスさんは裁判を起こしていた。クリル地方検察庁は「法律には遡及的な効力はない」として、ルスさんを擁護。クリル地裁のアンナ・オスキナ裁判官は「地区行政の主張は支持できず、法的に重要ではない」と切り捨てた。行政府のロコトフ市長は控訴しないことを明らかにした。(サハリン・インフォ2020/11/24)

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