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歯舞群島海域のウニ資源量激減 2010年40個/㎡⇒2019年6.4個/㎡ クリル自然保護区が漁業活動に反対表明

北方四島の話題

 サハリン・インフォ2020/3/19

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サハリン州政府がロシア連邦院(上院)の農業と食糧政策に関する委員会に出席し、小クリル自然保護区に含まれる色丹島沿岸でコンブ採取を認めるよう要請した問題で、クリル自然保護区の科学技術評議会は保護区内でのウニ、ホタテ、コンブの漁獲に反対を表明した。

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  保護区では規定によりコンブ採取を禁じられているが、2012年にウニとホタテの漁獲が許可された。南クリル(国後島択捉島色丹島歯舞群島からなる小クリル)の海域における海洋生物資源の評価はサフニロのサハリン支部によって定期的に行われている。最近では2010年、2014年、2019年に歯舞群島の海域でコンブ資源の調査を実施した。最新データによると、色丹島のコンブ資源量は1万9,200トンで、大部分は保護区の外側に集中している。国後島は、クナシリスキー海峡(根室海峡)のオホーツク海側の保護区の外側海域で3,000トンと推定される。コンブ資源は主に南クリル諸島の太平洋側に集中しているが、この調査データには含まれていない。一般に国後島色丹島でのコンブの供給量は49,000トンを超える可能性があり、そのうち50%は保護エリアの外にあるという。2019年に南クリル海域で採取されたコンブはわずか200トンで利用可能な資源の1%未満であり、生態系に影響するものではない。

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 サフニロによると、ウニの個体数は、漁獲が始まる前の2010年に1㎡当たり40.1個だったが、2019年には6.4個に大幅に減少した。ホタテは1㎡当たり1.5個から0.18個まで減少している。保護エリア内にある歯舞群島色丹島沿岸でウニとホタテの資源量が大幅に減少している。また、保護エリアの外側に位置する根室海峡のホタテの個体数は1㎡当たり0.79個だったが、歯舞群島海域ではわずか0.18個だった。択捉島の保護エリアの外側ではウニの個体数は1㎡当たり10.9個であり、これは歯舞群島の水域(1㎡当たり2.17個)の5倍以上である。

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 法律によれば、国家自然保護区の「特別保護自然地域について」は、自然の複合体とその構成要素に損害を与えることなど、国家自然保護区創設の目的に反する活動を永久的または一時的に禁止、または制限している。保護区内の資源量が大幅に減少しているにもかかわらず、コンブ採取を新たに採取したり、ウニやホタテ漁を続けるべきかなのか。自然保護区以外の海域での海洋生物資源の漁獲量は十分であり、国家自然保護区「小クリル」が地域の産業開発をどのように妨げているのかは明らかではない。

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