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1980年のシムシル島 プロトン湾入口を爆破 海軍基地開設のため水路開削 地理学会提案 無名の水路に爆破プロジェクトのリーダー海軍中将の名前を

❐中クリルの話題

 サハリン・クリル通信2019/12/27

ロシア地理学会サハリン支部クリル諸島で唯一名前がついていない水路に太平洋艦隊のユーリ・イグナトヴィチ中将の功績をたたえ、命名するようサハリン州議会に提言した。

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●…「この物語は1970年代後半に始まる」とセルゲイ・ポノマリョフ支部長は言う。無人島のシムシル島(新知島)のプロトン湾に海軍基地を建設することになった。しかし、湾入口の水深はわずか6m、幅も30mと狭く、艦船の出入りには適していなかった。海軍基地は対潜水艦と掃海艇のためのもので、海底の浚渫だけでなく運河を造る必要があった。

●…太平洋艦隊の退役軍人は、ユニークな基地建設がどのように進んだかを語った。1979年のこと。地雷、砲弾、爆弾などあらゆる火薬が集められた。いずれも使用期限が切れたものだ。TNT換算てほぼ1メガトン(100万t)にもなった。イグナトヴィチ中将が率いる特別チームが綿密なな計画に基づいて湾入口に沿って爆薬をセットした。1980年6月1日に爆破が行われた。この影響で2日間にわたって泥の雨が降った。

●…結果、まだ不十分と分かり、翌年、再び爆破が行われた。今度はTNT換算で1,300トン。水蒸気や煙が800mの高さまで上がり、まるで地震のようだった。目標は達成された。プロトン湾の入口は幅80mに広がり、水深も13mになっていた。

●…太平洋艦隊司令部は、このような前例のない大規模な爆破作業にもかかわらず、人的損害を出さずに成功したことを称賛した。イグナトヴィチ中将は数々の表彰を受けた。海軍基地は敵の潜水艦を制御し、海上交通の安全確保に貢献した。

●…シムシル島を調査した地理学会サハリン支部のメンバーは1.5マイル(約2.4km)の人工の水路は「イグナトヴィチ・カナル」という名前がふさわしいと指摘した。

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