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国後島 郷土博物館で出迎える「クナシリ・ババ」の謎

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北方四島の話題

 サハリン・インフォ2019/10/13

 サハリン・クリル通信 2019/4/17

 プリマメディア2016/6/28

●…国後島ユジノクリリスク(古釜布)にある郷土博物館。その入り口に人面が彫られた大きな岩が据えられている。「クナシリ・ババ(女)」「クナシリ・スフィンクス」--。謎めいた岩にはいくつかの呼び名がある。f:id:moto-tomin2sei:20191018124606j:plain●…それは、1991年に開設された南クリル郷土博物館に運ばれた。まもなく大地震が島を襲い、経済危機と荒廃が始まった。人々はこうした不幸な出来事と岩の彫刻を結びつけて噂したが、今では岩の偶像は崩壊ではなくクナシリの発展を見つめている。f:id:moto-tomin2sei:20191018121625j:plain

●…顔のサイズは25㎝×30㎝の楕円形。大きな額、細くまっすぐな鼻、長く伸びた口髭、左手は拳を握り肩のあたりに置かれている。女性に見えたことから「クナシリ・ババ(女)」と呼ばれたり、エジプトのスフィンクスになぞらえて「クナシリ・スフィンクス」という人もいる。

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●…アムール地方のシカチ・アリャンに古代人が残したぺトログリフの芸術に似ているという指摘がある。シカチ・アリャンの岩面画は玄武岩の表面に刻まれた新石器時代のぺトログリフで知られる。それは神秘的で、奇妙に擬人化された顔が特徴的だ。

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●…また別の意見では、沿海州地方のズメイナヤ山の洞窟にある「眠れる美女」と酷似しているという指摘もあるが、「眠れる美女」については古代寺院跡の貴重な遺跡と考える人たちと、考古学的偽造であるとする人たちの間で論争が続いている。

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●…いずれにしろ、メンデレーエフ火山の斜面に、時間の記憶を残した彫刻家が一体誰なのか、国後島のぺトログリフの起源について、まだ結論は出ていない。サハリンの歴史家イーゴリ・サマリンによると、メンデレーエフ火山の最後の噴火は1880年である。素材が火山岩であることからすると…。

●…国後島の郷土博物館の研究者オクサーナ・イワノワは別の可能性を考えている。ある時、島内を巡ってきた観光客が博物館に立ち寄り、写真を見せられた。笹の中から石に彫られた顔がのぞいていた。「写真はどこで撮ったのか」「丘のとごかだが…地元の人間ではないので、分からない」と、観光客は手を広げた。

●…「クナシリ・ババ」「クナシリ・スフィンクス」には姉妹か兄弟がいる可能性がある。「たぶん1つということはない。国後島にはまだまだ多くの謎や秘密がある--それは絶対に確かだ」…。