北方領土の話題と最新事情

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ロシア紙が北方領土問題について識者に聞いた

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北方四島の話題

citysakh.ru/news 2019/1/28

22日のロ日首脳会で、プーチン大統領は2つの島の移転について話し合う準備ができていないことを明らかにする一方、平和条約締結への関心を表明した。コメルサントは、政治家や研究者、文化人、そしてクリルの住民に、ロシアが紛争地域にどう対処するべきかを尋ねた。citysakh.ruがコメルサントの記事を引用して伝えた。

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ロシア科学アカデミー極東研究所の日本研究センター長 ヴァレリー・キスタノフ

 引き渡しという言葉を私たちはどのように理解するのか。私たちは主権を渡すべきではない。南クリルの島々で共同経済活動の可能性を広げることはどうか? ロシアの法律に基づき、日本に何も渡さないという前提であれば、それは可能だ。日本人が2島での決着を容認できないことは明かだ。安倍総理が56年宣言に従って平和条約を締結する準備をしているというすべての噂には根拠がない。

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モスクワ現代劇場スクール芸術監督 ジョセフ・ライケルガウ

 ロシアと日本には分かりやすい法的な関係が必要だ。それが良いかどうか別にして、1956年の共同宣言でフルシチョフは平和条約を締結した後に、2島を引き渡すと約束した。我々は共同宣言に書かれたすべてのことを考慮する必要がある。可能であれば、客観的な結論を出す。感情だけで結論を導き出すべきではない。「ロシアは諦めない。すべてはロシアのものだ」--- 法的な根拠がない決定でロシアは自らを世界の片隅に追いやっている。

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農地・食糧政策と環境管理に関する連邦評議会委員 リュドミラ・タラバエワ 

 政治的観点からも経済的観点からも南クリルの島々を与えることは出来ない。これはロシアの領土だ。日本は第二次世界大戦の結果を認めるべきだ。私は大学1年生の時、色丹島の缶詰工場で働いたことがある。その時、豊富な水産資源があることに気付いた。そして今、企業が島に投資を行い、発展している。ロシア人が暮らし、仕事をしている土地を誰かに与えることなど想像できない。

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択捉島在住の作家、ジャーナリスト オクサナ・リズニッチ

 私たちは目先の利益を追い求めるのではなく、あらゆる点でユニークな存在であるクリル地域がいかに損失を被って来たかという点に注意を向けなければならない。クリル諸島への功利主義的なアプローチをやめる時が来た。クリル諸島を国立公園と宣言することは本当に価値があることだ。クリル諸島の豊富な資源の利用は、持続可能な発展の原則に基づいて行われる必要がある。

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ロシア地理学会(RGO)サハリン支部長 セルゲイ・ポノマリョフ

    領土に関するすべての交渉が不可解であり、憤慨している。多くの人々の意見も、専門家の見解も、憲法上の規範さえも考慮さされていない。色丹島で暮らしている人々や小クリル諸島(歯舞群島)に駐屯している国境警備隊のだけでなく、すべてのロシア人がこれらの島々に属しているのだ、ということを明確に語るべきだ。私はこれまで無名だった20の島や岩礁などに命名する手伝いをしてきた。2017年2月には、小クリル諸島の名前のなかった小さな島がデレビャンコと名付けられた。1945年9月2日の降伏文書署名に出席した人物の名前だ。