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外国人旅行者は国後島から根室に上陸できるか?!

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〇…国後島に滞在中の外国人旅行者が船で根室に渡ろうと準備をしていた。旅行者が実際に計画を実行した場合、日本政府は根室で上陸を拒否できるだろうか。答えはNOである。日本政府としては上陸を拒否出来ない。

〇…これは、2011年に現実になりかけた話だ。自転車で世界を回っていた70代のイタリア人男性がロシアの査証を取得してサハリン経由で国後島に渡った。サハリン滞在中に、国後島から根室に直接渡航する計画を明らかにして、日ロ双方のメディアで話題になっていた。

〇…日本の外務省は本人に接触し、国後島への渡航を断念するよう繰り返し説得した。日本の立場は外国人がロシアの査証を取得して北方領土に渡ることは、あたかもロシアの管轄権を前提としたかのような行為であり、日本の立場と相容れない、という考え方だ。

〇…最近では欧米やアジアの旅行者が北方領土を観光で訪問するケースが増加しているが、このときは国後島から直接根室に渡るというので、大騒動になった。当時の官房長官は記者会見で「法令的には上陸拒否はできないので、説得をしていく」と答えていた。

〇…一般論として言えば、外国人が上陸の許可等を受けずに日本に上陸する目的で我が国の領域に立ち入ると不法入国になる。そして、入国審査官から上陸の許可等を受けないで日本に上陸すると不法上陸になる。

〇…しかし、それは上陸に関する入管法上の手続ができることを前提として、上陸の許可等を受けないことを問題にするもので、ロシアに法的根拠がないまま占拠されている北方領土では、その手続きを行うことが出来ないのだ。

〇…入管法関税法などとは異なり、北方領土を日本国内としており、その意味では国後島滞在中のイタリア人はすでに日本国内にいることになる。イタリアと日本は査証を相互に免除しており、観光目的であれば、上陸を拒否することは出来ないという訳だ。

〇…結局、ロシア側が国後島では出国手続きは認められていない、ということでイタリア人旅行者はサハリンに戻った。結果的にロシア側が日本の立場に配慮して、助け舟を出した形になった。