北方領土の話題と最新事情

北方領土の今を伝えるニュースや島の最新事情などを紹介しています。

北方領土遺産「四島の遺産たち」…①択捉島の紗那郵便局跡地から発見された「半鐘」

f:id:moto-tomin2sei:20181107130355j:plain

❐解体された紗那郵便局の跡地から掘り出された「半鐘」

 2015年6月9日に解体された択捉島の紗那郵便局。その際、玄関向かって右側の地中から、煤と油にまみれた「半鐘」が布にくるまれた状態で見つかった。

 高さ50㎝ほどの「半鐘」には、外側から力が加えられて空いた穴があり、縦帯部分に「新合」の鋳型文字、背面に「第弐拾四号 昭和六年六月」と刻まれている。それらを手掛かりに製造元などを調査したが特定できていない。

 「半鐘」は現在、紗那の博物館において大切に保管展示されている。

f:id:moto-tomin2sei:20181107130408j:plain

f:id:moto-tomin2sei:20181107130432j:plain

択捉島紗那村出身の岩崎忠明さん(札幌市)の話

 紗那警察署の脇に火の見櫓があった。今の電柱くらいの高さで、子供にとってはかっこうの遊び場だったが、登ることは禁じられていた。櫓には消火用のホースがかけられていて、よく乾かすのに使っていた。櫓には、確かに半鐘があった。空襲とか、火事とか、訓練などの時には、ガンガン鳴る鐘の音を聞いた記憶がある。櫓があった警察署から郵便局までは300メートルくらいはあるので、発見されたものが火の見櫓の半鐘だとして、なぜ場所が離れた郵便局の地中に埋まっていたのか、分からない。

f:id:moto-tomin2sei:20181107130448j:plain
f:id:moto-tomin2sei:20181107130458j:plain

半鐘上部左側面に大きな穴が。紗那の博物館職員によると、発見時は油と煤にまみれ、取り除くのに苦労したという

f:id:moto-tomin2sei:20181107130511j:plain
f:id:moto-tomin2sei:20181107130524j:plain

  「第弐拾四号 昭和六年六月」          「新合」の鋳型文字

f:id:moto-tomin2sei:20181107130543j:plain

紗那警察署(写真正面)を出発した子供たちの行列。警察署右側の櫓(やぐら)には半鐘のようなものが吊されているのが分かる。写真の撮影時期は不明。(千島連盟提供)

f:id:moto-tomin2sei:20181107130601j:plain

紗那警察署の鄰に建物が出来ており、前の写真よりは新しいもの。櫓にはやはり半鐘が吊されている(千島連盟提供)

f:id:moto-tomin2sei:20181107130614j:plain

半鐘が吊されていた紗那警察と、半鐘が地中から見つかった紗那郵便局は約300m離れている(千島連盟提供)

f:id:moto-tomin2sei:20181107130631j:plain

半鐘は現在、紗那の博物館に展示されている。左側の朱色の梵鐘は、紗那にあった法伝寺付近の道路から発見されたもの。9年前、元島民で紗那出身の岩崎忠明さんがビザなし交流で訪問した際に、博物館の倉庫に保管されているのを確認したもの(2016年5月撮影)