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北方領土遺産:映画「生命の冠」…⑤撮影スタッフ・俳優陣と女工さんたちの記念写真

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 「生命の冠」ロケ終了後に、碓氷缶詰古釜布工場前に勢揃いした女工さんたちと俳優、撮影スタッフの記念撮影。前列左から四人目が俳優・井染四郎、右隣が主演の岡譲二。さらに野田工場長、伊沢一郎。前列右端が内田吐夢監督、左隣が脚本家の八木保太郎

 ロケ隊が宿泊した国後島・古釜布の沢崎旅館の沢崎文二さんは、国後島ロケの様子を以下のように書き留めている。

   勿論島としては初めての映画でもあり、平和なふるさとフルカマップは、この見物客で大へんな賑わいだった。一行の宿泊場所は沢崎旅館であったので、私の母やお手伝いさん等は海の幸、山の幸とその日の献立に異常な木の配りようだった。ロケを終えて時化で荒れ狂う海から宿に戻る一行は、それを待ち構えている島の娘や缶詰工場の女工達のサイン攻めでごった返しである。特に岡譲二は油絵が非常に上手で、格こうのよいホタテ貝を綺麗に磨いては、懇請する人々の出入りも多かった。

 「浜辺に立つ角巻姿の娘」「馬」「港風景」など素晴らしい出来だった。また井染四郎はクラリネットに熱中時代か、毎晩二階の部屋から甘くせつない、むせぶようなメロディー潮騒の音と調和して流れきこえるのである。曲目はロシア民謡の「黒い瞳」に限られていた。

※「国後島回想録(第二部)望郷」(昭和55年2月発行)より抜粋