北方領土の話題と最新事情

北方領土の今を伝えるニュースや島の最新事情などを紹介しています。

国後島・古釜布でガレージから出火

10月24日23時56分、国後島ユジノクリリスク(古釜布)のリブニコフ広場のガレージで火災が発生した。消防車1台と3名の消防士が出動し、3分で現場に到着。0時6分に消火した。ガレージの内部9㎡を焼いたが負傷者はいなかった。(astv.ru 2020/10/26)

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国後島と択捉島の遠隔集落に光ファイバー通信回線を敷設 ロステレコム

ロシアの通信最大手ロステレコムは国後島のゴロブニノ(泊)、ドゥボボエ、メンデレーエフ択捉島のゴリャチエ・クリュチ(瀬石温泉)、ゴルノエの学校や消防署など社会的重要施設に通信速度が最大100Mbit/sの光ファイバー通信回線を敷設した。遠隔地への通信回線整備は、ロシアのデジタル経済プロジェクトの情報インフラ整備の枠組みで2019年から始まり、今回国後島択捉島を含む州内43施設に200kmを超える回線を敷設された。ロステレコムは2021年までに、さらに州内54の施設を回線でつなぐ計画。(サハリン・インフォ2020/10/26)

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北方領土の上空慰霊2日間の日程終了

 【根室北方領土周辺をチャーター機で飛び、元島民らが上空から慰霊する事業が25日、中標津空港根室管内中標津町)発着で3回行われ、2日間の全日程を終了した。新型コロナウイルスの影響で本年度のビザなし渡航が全て中止される中、初回の21日と合わせて計125人が機上から故郷の島々に手を合わせた。(北海道新聞電子版2020/10/25)

 この日は子、孫と一緒の元島民や根室管内の市町長ら71人が搭乗し、日ロ中間ラインの北海道本島側上空を約1時間かけて飛行。参加者によると国後島は雲がかかっていたが、歯舞群島色丹島は見えたという。

 歯舞群島多楽島古別生まれで、娘と参加した網谷博さん(87)=稚内市=は同島で病気で亡くなり、きょうだいで火葬した母の写真を持参。「古別が見えた時には母に『帰って来たぞ』と声をかけた」と語った。

 上空慰霊は道と千島歯舞諸島居住者連盟が初めて実施。道は今回限りの事業との見通しを示している。(武藤里美、今井裕紀)

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上空慰霊を終え、最終便から降り立つ元島民や家族ら=25日午後4時5分、中標津空港(加藤哲朗撮影)

南クリル税関署長 来年の課題はビザなし交流再開の可能性と増加する観光客への対応

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ロシア税関の日に合わせて、南クリル税関のアンドレイ・ダニレンコ署長に話を聞いた。(kurilnews.ru/2020/10/23)

Q 南クリル税関の現状はどうなっているか?

--10月1日から極東では税関組織が変更され、カムチャツカ、マガダン、チュクチの税関がサハリン税関の一部になった。これにより、税関当局のリソースをより効率的に使用できるようになる。南クリル税関では職員定数を100%満たしており現在13人。最近、コルサコフから新しい検査官が着任した。

Q 南クリル税関が直面している課題は何か?

--まず第一に密輸との戦いだ。税関分野での違反を検出し、罰金を回収して連邦予算に収納することも重要な任務。また、私たちの活動分野には、高度な開発領域への支援が含まれている。TOR(優先的社会経済発展区域)の一部である色丹島のオストロブノイ水産加工場に対して、情報提供や助言を行い、管理・監督の役割も果たしている。

Q 他の法執行機関との協力関係はどうか?

--国境警備隊や内務機関との協力は非常に明確に組織されている。

Q 税関の業務は変化しているか?

--事務や報告、申告など業務処理の99%が情報技術で電子化されており、紙は使っていない。

Q 新型コロナウイルスは税関の仕事に影響を与えたか?

--パンデミックのため、ビザなし交流はすべて中止となった。政府は在宅勤務に関する法令を制定しており、感染拡大を防ぐため、一部の職員は自宅勤務にしている。

Q 2020年の9か月間における南クリル税関の実績は?

--国際輸送に関連する税関業務は、入国検査が289件、出国は262件だった。また、南クリルに入った3,274人の荷物、この地域から出発した2,345人の荷物を検査した。これらの指標は、昨年の同時期よりもわずかに低くなっている。しかし、移動した水生生物資源の指標は増加している。今年は1万9,388.8トンが輸入された。(2019年より6,400トン増えている)輸出は3976.57トンだった。行政犯罪の件数が10倍以上になっている。

Q 今年の一番大きな事件は何か?

-- 4月に摘発した酒類の密輸事件で、1145.6リットルを押収した。これは、2019年に押収されたすべてのアルコールよりもはるかに多い量だ。南クリル税関と国境警備隊が協力して摘発した。(日本の花咲港から到着した漁船からウイスキーウォッカ、ワイン、ビールなど大量のアルコールを発見した)

Q 南クリル税関の来年の課題は何か?

--今年より悪くない結果を示すことだ。日本とのビザなし交流の再開の可能性と観光客の流れの増加に焦点を当てる。ツアーオペレーターと協力して、観光客による違反を防ぐために税関規則を明確にする。

択捉島—サハリン路線 乗客が増えているのに週8便から4便に減少

10月16日に開催されたサハリン州の各地区議長が出席した評議会で、択捉島を管轄するクリル地区議会のタチアナ・ベラウソワ議長は、サハリン--択捉島の増便をサハリン州政府に要請した。「サハリン—クリリスク(紗那)路線は週に8便運航されていたのが、秋には4便に減少した。便数が半分になったのに、乗客は増えている。2019年の乗客数の平均は1日82人だったが、今年は132人に増加している。サハリンの病院に通院した島民は島に帰ってこられない」と訴えた。生活路線であり、観光客も増加している。2019年8月の利用者は1,796人だったが2020年8月には2,483人に増加し、10月も数字はやや下がるものの同じ傾向だ。国後島色丹島も同様で、乗客が増えているのに便数が少ない現状を訴えた。運航するオーロラ航空によると、「フライトはサハリン州政府から助成金を受けており、州政府と合意したスケジュールに従って運航している。季節性があるため、夏に比べて冬のフライトが減少するのは通常の方法だ」と話す。増便するには州政府が助成金を増やす必要があるが、その可能性は低い。州政府の収入源である石油・天然ガスの需要が新型コロナの影響で減退している。いま州政府には余分な金がない。次の3年間の予算見通しでは、税収が800億ルーブル減少すると予想される。(サハリン・インフォ2020/10/20ほか)

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国後島の森林でウサミヤスデゴケ発見 ロシア国内で初めて

国後島で植物の調査を行ったロシア科学アカデミー植物園植物標本センターの研究者ユーリ・マモントフ氏が、これまでロシアでは確認されていなかったコケの1種Frullania usamiensis(ウサミヤスデゴケ)を発見した。クリル自然保護区の協力で、9月末から国後島の北部と中部の森林で調査を行った。ウサミヤスデゴケは中国、日本、韓国にのみ生息すると考えられていたが、今回の発見で分布域がより広いことが明らかになった。ロシアには約470種の苔類が生息しているが、そのうち230は択捉島を含む南クリル諸島に生育している。ロシアのどの地域にも、このような多様性は存在しない。(サハリン・クリル通信2020/10/21)

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国後島住民の憩いの場アリゲル湖 軍の演習による環境破壊を心配

国後島の住民は、アリゲル湖(クンチャロ沼)の運命を心配している。国後島で最も人気のある釣り場の1つだが、今シーズンはフナがほとんどいない。住民はこの場所で演習を行い、環境を破壊し、ゴミを残していく軍を非難している。住民はこれまでも軍による自然破壊に憤慨し、地元議員にも訴えてきたが、問題は何も解決していない。住民はSNSで「軍は戦車で湖の中に入っていく。陣地を構築し、演習が終わるとそのまま捨てていく」と訴える。(サハリン・クリル通信2020/10/21)

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