北方領土の話題と最新事情

北方領土の今を伝えるニュースや島の最新事情などを紹介しています。

「ブルーだろうが、何色であろうが、いかなる報告書も、この現実を変えることはできない」 ロシア外務省が「外交青書」批判

ロシア外務省のマリア・ザハロワ報道官は、クリル諸島南部(※北方四島)の「不法占拠」に関する日本外務省の報告書(※外交青書)についてコメントし、「これらの島々に対するロシアの主権は否定できないだけでなく、原則としていかなる議論の対象にもならない。ブルーだろうが、何色であろうが、いかなる報告書も、この現実を変えることはできない」と述べた。ザハロワ報道官はクリル諸島南部は第二次世界大戦後、法的な国際的根拠に基づいてロシア領土の不可欠な一部となったと強調し、「それらはまず第一に、国連憲章に明記されている」と説明した。さらに「毎年、日本の外務省は退屈で時代遅れの表現で複数ページの文書を作成しているが、 読んでも意味がない」とも述べた。(sakh.online 2024/4/19)

ロシア、外交青書を批判 北方領土の現状「変わらず」

(時事通信2024/4/18)

 ロシア外務省のザハロワ情報局長は18日の記者会見で、日本の2024年版外交青書で「北方領土はロシアに不法占拠されている」との表現を踏襲したことについて、「ロシアの主権は否定できず、原則として議論の対象にならない」と批判した。その上で「いかなる報告書も現状を変えられない」と述べた。

 外交青書で「不法占拠」の表現は22年版から続いている。ザハロワ氏は「毎年出版され、同じことを記述するものを読んで時間を無駄にすることは勧めない。(外交青書は)退屈で時代遅れだ」とやゆした。

 

<四島ウオッチ>子供増加 相次ぐ新規開校

 ロシアが実効支配する北方領土で、学校と幼稚園の新規開校が相次いでいる。

 国後島南部の泊に5日、幼稚園・学校の一体型施設が開校した。北方四島を事実上管轄するサハリン州政府によると、隣接する集落ドゥボボエを含めて計100人の子供たちが通うという。(北海道新聞2024/4/19)

 2022年と23年にも択捉島別飛(べっとぶ)、紗那にそれぞれ学校が開校。紗那の新校は定員400人でクリール諸島(北方領土と千島列島)最大。物理や生物など多分野の専用教室や充実した運動設備があり、リマレンコ州知事は「快適でハイテクで、時代のあらゆる要求を満たす学校」と誇る。色丹島穴澗などでは幼稚園の建設も進んでいる。

 四島では、水産、建設業などの仕事を求めて国内各地などから一時的に移り住む若い世代の家族が増えているとみられ、子供の数が右肩上がりだ。連邦統計局によると、23年1月1日時点で就学前の1~6歳の人口は1879人。10年前と比べて約60%増え、総人口の約10%を占める。

 ロシア政府はウクライナ侵攻後、四島の道路や港湾などの整備費を縮小しているが、教育施設に関してはおおむね維持している。

 一方、択捉島選出の州議会議員は9日、通信アプリで軍の村がある瀬石温泉に幼稚園がなく学校も老朽化していることを指摘し、「こんな場所はロシアでここだけだ」と州政府を批判。侵攻を支える軍への配慮も見えるが、整備が追いついていない実態も根強くあるようだ。

 

ロシア人観光客が日本に戻る 今年3月1万6,000人、昨年比210%増加

3月に日本を訪れたロシア人観光客の数は1万6,000人に達した。これは、コロナ前の2019年の同時期と比べてもわずか8%少ないだけで、昨年3月と比較すると210%増加しているとタス通信は報じている。日本は3月に308万1,000人の外国人観光客を迎え、2019年に比べて11.6%増加した。300万人の大台を超えたのはこれが初めてである。(astv.ru 2024/4/18)

 

択捉島で「軍事訓練」競技会 地区議長「兵役の準備」と意義を強調

中等学校の8年生が「軍事訓練の基礎」を競う競技会が15日、択捉島で開催された。島内の4つの学校から8年生のチームが参加した。択捉島を管轄するクリル地区の教育委員会が主催した。開会式でアンナ・オスキナ市長代理は「ロシアは常に軍人で有名です。軍隊の目的は、領土保全と我が国の主権を守ることです。今日、皆さんは自分の資質をすべて発揮し、自分が最高であることを証明するために競技会に参加しています。皆さんが勝者になることを心から願っています」と挨拶した。また、クリル地区議会のタチアナ・ベロウソワ議長は「(軍事訓練は)あなたに兵役の準備をさせ、祖国の防衛者であることを認識させます。皆さんが課題を克服して勝利できることを祈っています」と、競技会の重要性を強調した。軍人と民間人からなる審査員団によって評価され、クリリスク(主な)のクリル中等学校チームが優勝した。2位はゴリャチエ・クリュチ(瀬石温泉)、3位はレイドヴォ(別飛)、4位はブレヴェスニク(天寧)だった。(赤い灯台2024/4/16)

 

ロシア政府、北方四島周辺の外国船航行停止を27日まで延長 日本政府は抗議

 ロシア政府が、実効支配する北方四島周辺の海域でロシア船籍以外の船舶の航行を認めない措置を27日まで延長すると日本政府に通知していたことが17日分かった。当初の通知は11~17日までとしていた。日本外務省は同日、「北方領土は日本固有の領土。わが国の立場と相いれず受け入れられない」と改めてロシア側に抗議した。(北海道新聞デジタル2024/4/17)

 海上保安庁によると16日午後9時ごろ、ロシア当局から17日午後8時~27日午後9時まで四島周辺や千島列島付近の海域で外国船舶の無害通航権を停止すると通知があった。ロシア側から理由の説明はなかった。

 国際法上、他国の領海を自由に通航できる「無害通航権」について、沿岸国は自国領海であれば必要に応じて停止することを認められている。(今井裕紀)

根室半島上空から望む北方領土。手前から納沙布岬歯舞群島水晶島志発島多楽島、雪化粧した色丹島=2016年11月(本社ヘリから)

北方四島の学校で柔道、極真空手、ゴルフの授業?

ロシアの「初等、基礎、中等」の教育プログラムが修正され、柔道やゴルフが体育の授業に追加されるかもしれない。クリル地方(※北方四島)も例外ではなく9月1日の新学期から、柔道 (何らかの理由でこのスポーツが最も注目されている)、バイアスロン、アーバンスポーツ、フィールドホッケー、綱引き、チアリーディング、ロッククライミング、 ダンススポーツ、極真空手、ゴルフなどが選択授業として導入される可能性がある。授業の選択は、設備の能力や利用可能性、児童・生徒と保護者の関心を考慮して、学校自体が行うことになる。(赤い灯台テレグラム2024/04/17)

 

「困難な時期は終わった」択捉島前市長でサハリン最大の養鶏場代表語る

択捉島を管轄するクリル地区の前市長で、現在はサハリン最大の養鶏場であるオストロヴナヤ養鶏場の代表を務めるワディム・ロコトフ氏は、同社のテレグラムチャンネルで「秋までにはオストロヴナヤ養鶏場からの美味しくて美しく健康的な卵が再びサハリン住民の食卓に並ぶだろう」と語った。エカテリンブルクから9万1,000羽のニワトリがサハリンに空輸されたのだ。「この3か月間はオストロヴナヤ養鶏場にとって真の試練だった。吹雪、鳥インフルエンザの流行、検疫、規制当局による検査、メディアでの批判などだ。チームはこれらすべてをなんとか克服した。困難な時期は終わった!」と宣言した。(赤い灯台テレグラム2024/4/18)

(朝日新聞デジタル2024/3/1)

サハリン州で、深刻な鶏卵の供給危機が起きている。ロシアが実効支配を続ける北方領土も含めて州に鶏卵を供給する大手養鶏場で鳥インフルエンザが発生、卵の生産が全面的に止まり、ロシアの大陸部からの搬入に長期間依存する事態となった。